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がんになりやすい食生活、なりにくい食生活(1) (2011/2/19)

がんになりやすい食生活、なりにくい食生活

 日本人のためのがん予防法」の中の食生活に関する項目を中心に、具体的な説明や補足をしました。

●飲酒とがん発生のリスク
 適度な飲酒は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げるというメリットがあります。がんに関しては1日当たりエタノール量約23g(日本酒換算で1合)以内なら、がん全体の発生リスクを上げないことがわかっています。しかし、男性では「ときどき飲酒する人」に比べ、「1日に2〜3合飲酒する人」で1.4倍、「3合以上飲酒する人」で1.6倍、がんの発生率が高くなることがわかっています(女性については飲酒習慣のある人が男性ほど多くないので、明確な傾向がみられない)。
 大量飲酒が持続することでなりやすいがんは、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん、乳がんなど。飲酒習慣単独より、飲酒習慣に喫煙習慣が加わると、がんの発生リスクがさらに高まることもわかっています。

食事バランスとがん発生のリスク
 適切な範囲内での体重を維持するために、身体活動で消費するエネルギーと食事からの摂取エネルギーのバランスや、各種栄養素のバランスのとれた食生活が基本です。
 また、「これをとればがんを予防できる」という単一の食品や栄養素は、現時点ではわかっていません。逆に、とりすぎるとがん発生のリスクを上げる可能性のある食品中の成分や、調理や保存の過程で生成される化学物質があることはわかっています。リスクを分散するためにも、偏りのない食事をとることが大切です。

●食塩・塩蔵品とがん発生のリスク
 日本人を対象とした多くのコホート研究(*)で、食塩・塩蔵食品の摂取量が多いほど、胃がんになりやすいことが示されています。
 食塩の摂取量は塩蔵品の食塩含有量も含め、1日当たり男性で9g未満、女性で7.5g未満を目指しましょう。特に漬物、塩辛など、塩分の多い食品は控えめに。
(*)コホート研究とは、数万人以上の特定の集団を対象に生活習慣などを調べ、長年にわたり追跡調査を続ける研究。

●野菜・果物の発がん予防効果
 野菜は、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がんの発生リスクを下げ、果物はこれらのがんに加えて肺がんの発生リスクも下げる可能性が大きいことがわかっています。
 野菜や果物のさまざまな成分が、体内で発生した活性酸素を消去したり、発がん物質を解毒する酵素の活性を高めたりする働きがあると考えられています。
 また、野菜や果物は低エネルギー食品なので、エネルギーのとりすぎを防いでいることでも、がんの発生リスクを高めないと考えられます。
 野菜・果物は、1日に合計400g(例:野菜料理を小鉢で5皿・果物を1皿程度)を目安に食べましょう。

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